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zoom RSS 核兵器禁止条約「日本が加入するのは無理、情勢が許さない」と考える方々へ

<<   作成日時 : 2017/07/17 07:17   >>

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 今朝(7月17日)の朝日新聞の「声」欄に「核兵器禁止条約加盟 情勢が許さぬ」との投稿がありました。条約の理念には賛同するが、北朝鮮、中国、ロシアが核を保有し日本への現実的脅威となっている以上、日本だけが一方的に加盟することはできないとの主張です。こういうふうに考える人は多いと思うので、以下、反応しておきたいと思います(ツイッターに連投したものに基づいています)。

 第一に、核兵器禁止条約は、国家が安全保障のために軍事力一般を保持することを否定するものではありません。しかし、国家が用いることを許される戦闘手段には制約があり、核兵器という手段は許されないとしています。なので、日本が安全保障のために他の軍事力ではなく「核」に依存することが妥当かどうかが問題となります。

 核兵器が他の軍事力と切り分けて禁止される根拠は、その非人道性です。過度に惨たらしい苦痛と長期・広範な危害をもたらす兵器ゆえ他の兵器と区別し禁止されたのです。被爆国日本はそのような核の「特別性」を認識してきたはずなのですが、今日では広島・長崎の記憶も薄れ、核も他の兵器一般と同等にとらえる見方が広がっているようです。

 核兵器を他の兵器一般と同等に、国家安全保障のためには許されるととらえるならば、結局、他の国が核を持とうとすることを止めることはできません。自国はよくて他国はダメというのは成り立たないからです。NPT体制は核拡散防止といいながら、実際には「オレも持ちたい」という国々への核拡散を誘発してきました。

 第二に考えたいのは、北朝鮮や中国やロシアなどの「核の脅威」に対して日本が「核」に依存することが「必要」であるかどうかです。北朝鮮の核に対して、米国の軍事力一般ではなく「核」がどうしても必要なのか。逆にいうと「核」があれば北朝鮮の核の脅威を有効に封じ込められるのかどうか。

 北朝鮮の暴発(北朝鮮が核を発射する可能性も含め)を防ぐためには米国の側に「核」がどうしても必要だという説得力ある議論を私は知りません。核以外の戦力でも北朝鮮に対する有効な抑止力を構築できるともいえます。いや逆に、核をもってしても、予測不能な北朝鮮を完全に抑止することは不能といえるかもしれません。

 北朝鮮の暴発を抑止するための戦略は、外交交渉と軍事力の組合せによるしかありません。どんな手段のどんな組み合わせが有効かつ妥当であるかという議論を進めるべきです。そのとき米国の「核」が絶対的に必要だとか、「核」こそあれば万全だとかいうのは迷信であり説得力に欠けます。核なしの戦略は十分にありえます。

 第三に、これらを踏まえ、日本が核兵器禁止条約にいま加入できるか、加入すべきかという問題について。私は、核の非人道性を身をもって知る日本が、核のみは他の軍事力とは性格が異なるとして今すぐ核兵器禁止条約に加入し、日本は「核なき安保」という道をとるという選択肢は十分にあると思います。

 しかし、やはり心配だ、北朝鮮の核がある以上日本だけ「核なき安保」は無理だという主張も根強いでしょう。この場合は、北朝鮮の核放棄と引き替えに、北朝鮮と日本が核兵器禁止条約に「同時加入」することを外交交渉の目的とするべきです。さらには日韓朝3カ国が核兵器禁止条約同時加入すれば、非核地帯が形成されることになります。

 仮に北朝鮮の核問題が解決しても中ロの問題が残ります。中国は200発、ロシアは7000発の核を有しており、その非核化は容易には見通せません。それでも、中ロが完全非核化するまでは日本の非核化もないという主張には同意しかねます。日本は核保有国ロシアと60年以上、核保有国中国と50年以上にわたり隣接し生存してきました。

 現実問題として、米国と中国、あるいは米国とロシアが戦争を起こせば、それは容易に核戦争に発展しえます。そうなれば、世界の破滅です。それを防ぐためには、これらの大国が戦争に至らないような予防努力を強化することに加えて、誤っても核のボタンを押させないという努力が必要です。

 核兵器禁止条約は、核兵器の使用をいかなる形でも援助してはならないと定めています(第1条1e)。日本が加入すれば、日本は安保条約の下で米国に軍事的協力をするけれども「核兵器の使用については決してこれを援助しない」と法的に約束することになります。これは米国の行動が誤って核の発射という事態に発展しないことを担保する予防策となります。

 整理すると私の主張は、@日本は核の非人道性の観点から今すぐ核兵器禁止に加入すべきと思いますが、A北朝鮮の予測不能な行動が怖くてできないということなら「日朝韓3カ国同時加入」をめざすべきです。B日本が核兵器禁止条約に加入すれば米国の核使用を縛ることになりますが、これは核戦争の勃発を予防することになり、日本の安全保障にとってマイナスであるどころか、世界の安全保障に資することになります。

2017.7.17 川崎哲

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