インドとの原子力協力の何が問題か。取り急ぎの論点メモ

 来週インドのシン首相が来日し、安倍首相との間で原子力協力協定締結に向けた合意を行うという報道がされています。この問題に関して、取り急ぎ、ツイッターに連続投稿したものをつなぎ合わせて、論点メモとしてお示しします。なし崩しを許してはなりません。川崎哲 2013.5.21
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 政府はインドとの原子力協力協定を来年1月にも締結すべく、来週シン首相が来日した際に、協定の「早期妥結」を確認する方針であると報じられている。だが、インドとの原子力協力は重大な問題をはらむ。
 第一に、福島の事故がまだ収束していないにもかかわらず、海外に原発輸出をしていくこと自体が問題である。安倍首相が先に中東各国を訪問して原発輸出の合意を作ってきたが、これらと並ぶゆゆしき問題だ。「福島の教訓に学ぶ」と口先では言っているが、実際には安全性よりも商機が優先されている。
 第二に、インドは核不拡散条約(NPT)加盟を一貫して拒否したまま核実験を行い核保有国となった国である。領土紛争を抱える隣国パキスタンと核軍備競争をくり広げている。原子力協力は、NPT体制の下で「平和利用」が確保されている場合に限るというのが大原則だ。インドはこれに反する。
 ブッシュ政権時代の米国のごり押しで、原子力供給国グループ(NSG)はインドの例外扱いを決定し、インドへの原子力協力が許されるという制度にはなっている。とはいえ、被爆国として核廃絶を優先課題として掲げている日本が、インドへの原子力協力に前のめりになるべきかは、別次元の問題だ。
 インドの原子力施設において、民生用と軍事用の境はきわめて曖昧である。インドに対する原子力協力は、民生用に限るという建前でも、実際は核軍備を助長する危険性が高い。インドに核燃料を輸出すれば、インドが自国産のウランを軍事用に使い易くなり、間接的に核軍備を促すとも指摘されている。
 1998年にインドが核実験をして核保有宣言を行ったとき国際社会はこれを許さず、制裁を科した。それから15年。今では世界はインドを例外的な核保有国として認め、せっせと原子力ビジネスをしている。これを北朝鮮は、どう見るだろうか。北朝鮮が最初に核実験をしてから、もうすぐ7年だ。
 インドのようなことが認められるなら、北朝鮮だって、今は制裁を受けているけれども「核保有国だ」と言って粘り続ければ、いずれ世界は容認してくれるだろうと考えてもおかしくはない。これではNPT体制は壊れ、際限のない核拡散につながっていく。原則も何もあったものではない。
 国内的には、福島事故の被災者への対応が未完のまま、また、原発の新しい安全基準が未確定のまま、日本からの原発輸出はそもそも許されない。国際的には、インドが核兵器計画の凍結、 軍事用核分裂性物質の中止を宣言し、包括的核実験禁止条約(CTBT)に署名するまでは、インドへの輸出はありえない。

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