核兵器の禁止へ行動する「誓約(プレッジ)」-日本は賛同を表明せよ

 昨年12月にウィーンで開催された第3回核兵器の非人道性に関する国際会議の成果として、「オーストリアの誓約(プレッジ)」と題する重要な文書が発表されたことは既にお知らせしたとおりです。これは、核兵器の禁止に向けて多くの国々や市民社会と幅広く協力して行動することを誓約するという内容の文書です。オーストリア政府は1月なかば、日本を含む全国連加盟国にこのプレッジへの賛同を求めました。プレッジは、核兵器に関する「法的なギャップを埋め」、「核兵器を忌むべきものとし、禁止し、廃絶する」ために行動するとしています。これは大きな意味で、核兵器禁止条約に向けて行動する宣言といえます。その一方で、禁止条約のあり方の具体的なこと(内容や時間枠など)には触れていません。禁止条約に向けた具体的な方法論については今後議論していこうという姿勢の文書であるといえます。

 2012年以降これまで5回にわたって提出されてきた「核兵器の非人道性に関する共同声明」が、核兵器の「非人道性」に関する共通認識を作り上げる文書であったとすれば、このたびの「プレッジ」は、そのような非人道兵器を禁止し廃絶していくための「行動」を呼びかける文書であるということができます。
 4月27日に開始される核不拡散条約(NPT)再検討会議までにどれだけ多くの国がこのプレッジに賛同を表明し、禁止条約に向けた機運を高めることができるかが重要です。

 被爆国である日本は当然、賛同を表明すべきです。
 日本政府は究極的な核廃絶を訴えつつも「核兵器禁止条約」にはこれまで一貫して消極的な姿勢をとっています。このプレッジは基本的な方向性を示す文書であり、各論や詳細に立ち入るものではありません。日本としてはまず賛同を表明した上で、方法論については今後議論を深めるという姿勢をとればよいと思います。
 逆に日本がこのプレッジへの賛同を拒絶するようなことがあれば、被爆国が核兵器禁止への国際的機運の足を引っ張るということになってしまいます。国際的に、きわめてマイナスのメッセージ発信になってしまいます。この点を踏まえ、岸田外務大臣には賢明な判断をしていただきたいと思います。

 この問題について先週、共同通信配信による記事が全国的に掲載されています(私のコメントも紹介されています)ので、以下に紹介します。また、ちょうど時期を同じくして、広島を訪れた赤十字国際委員会のマウラー総裁が、核兵器禁止条約に向けた行動を呼びかける演説をジュネーブでしていますので、こちらもあわせて紹介します。
 以下の写真は2月8日、日本赤十字社が「よこはま国際フォーラム」のなかで開催した核兵器廃絶に向けたセミナー(「国際人道法の挑戦」)に参加し発言したときの写真です。

画像


2015年2月18日
赤十字国際委員会マウラー総裁「核兵器:人類に対する脅威に終焉を」
原文
https://www.icrc.org/en/document/nuclear-weapons-ending-threat-humanity#.VOg4OvmsWT-
日本語訳
http://jp.icrc.org/event/18022015/

核兵器禁止へ賛同募る
非人道会議議長国が文書 日本も判断迫られる 軍縮停滞打開目指す

2015年2月14日 共同通信

 【ウィーン共同=宇田川謙】昨年末、核兵器の破滅的影響を議論する「核兵器の非人道性に関する国際会議」の議長国を務めたオーストリアが、核兵器を非難し、禁止への努力を誓った文書を今年1月半ばに国連の全加盟国に配布、賛同を求めていることが14日、分かった。広島、長崎への原爆投下70年に当たる今年の春、ニューヨークで開かれる核拡散防止条約(NPT)再検討会議に提出、「核禁止」論議を本格化させ、核軍縮進展を促す狙いがある。
 米国の「核の傘」の下にあり、段階的な核軍縮を主張している日本は賛同するかどうか厳しい判断を迫られそうだ。日本の外務省は各国の動向など情報収集を進め「再検討会議までに立場を固めたい」としている。
 非核保有国や被爆者の間では再検討会議を前に、「核兵器禁止条約」の策定を通じ核軍縮の停滞打開を目指す動きが強まっているが、米国や英国などの核保有国は禁止条約に反対している。文書は禁止条約の「土台」ともなり得る。
 文書は、ウィーンで昨年12月に開かれた非人道性国際会議で、オーストリア政府が自国の立場を発表した文書とほぼ同じ内容。核兵器の使用や核実験がもたらす「受け入れられない害悪」に留意して、人道的な観点から「禁止、廃絶するため全ての関係者や政府、市民社会などと協力する」としている。禁止条約には直接触れていない。
オーストリア外務省によると、文書への賛同については署名などの形式にはこだわらず、できるだけ多くの国の支持を得て、再検討会議に持ち込む方針。
 同外務省の担当者は「禁止条約は核兵器廃絶への選択肢の一つ。どうすれば目標を達成できるのか、全ての可能性を幅広く議論する必要がある」と強調した。


大国主導の核軍縮に限界
日本「重要な選択」

 【ウィーン共同=宇田川謙】オーストリアが「核兵器禁止」に向け独自の文書を国連の全加盟国に配布した背景には、米ロなど核保有大国主導の段階的な核軍縮に限界がきている現実がある。核兵器禁止の動きに賛同するかどうかは被爆国の日本にとっても重要な選択になりそうだ。
 現在、世界には約1万6400発の核弾頭が残り、うち9割超を米国とロシアが保有。ピーク時に比べると約4分の1に減ったが、米ロはウクライナ情勢をめぐり対立、両国が結んだ新戦略兵器削減条約(新START)後の核軍縮の見通しは立たない。
 昨年12月にウィーンで開かれた「核兵器の非人道性に関する国際会議」では広島で被爆したカナダ在住のサーロー 節子 (せつこ)さん(83)が「核兵器禁止条約に向けた作業を始めよう」と訴えた。
 オーストリア外務省のクメント軍縮軍備管理不拡散局長は、文書を配布した理由を「(核廃絶への道筋を付けられるかどうかは)禁止を含めたさまざまな選択肢を今春の核拡散防止条約(NPT)再検討会議で真剣に議論できるかどうかに懸かる」と説明した。
 核兵器禁止条約策定を訴えている非政府組織(NGO)ピースボートの 川崎哲 (かわさき・あきら)共同代表は「再検討会議では最終文書で禁止条約がどの程度深く記述されるのかが問われる。日本政府にとっては文書にどういう立場を取るのか、重要な分かれ目になる」と指摘した。


なお、オーストラリアでは、マルコム・フレーザー元首相とティルマン・ラフさん(IPPNW、ICAN)が以下のような論説文をThe Age紙に発表しています。

2015 is the year to ban nuclear weapons
http://www.theage.com.au/comment/2015-is-the-year-to-ban-nuclear-weapons-20150219-13jali.html
February 19, 2015
Malcolm Fraser and Tilman Ruff
The Age

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