川崎哲のブログ

アクセスカウンタ

help RSS 武器輸出三原則の例外はどのように認められるのか

<<   作成日時 : 2006/07/31 15:50   >>

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 2 / トラックバック 1 / コメント 0

 去る6月13日、日本政府によるインドネシア政府に対する巡視艇供与をめぐって国会論戦があった。
 日本の武器輸出三原則は、武器輸出を原則として禁止しており、今回のインドネシアへの巡視艇供与はその「例外」として認められた。(参考:内閣官房長官談話「ODAによるテロ・海賊取り締まりのためのインドネシアに対する支援と武器輸出三原則との関係について」)
http://www.kantei.go.jp/jp/tyokan/koizumi/2006/060613danwa.html
 この問題に関し参議院外交防衛委員会において、民主党の犬塚直史議員は、政府はどのような根拠に基づいて例外を認めたのか質した。政府側は、経産省貿易管理部長が、外為法の運用指針に基づき「政府内で検討し判断した」と答弁。犬塚議員は「政府の一存で決めるのは国会軽視ではないか」と反論した。
 犬塚議員はさらに、経済法である外為法だけではなく、国際的な「武器禁輸レジームのようなものを一つの目的として行っていかなくてはならない」と指摘したが、政府側は「武器輸出三原則とは、外為法に基づき経産大臣が輸出を許可するかどうかという運用の問題である」という現行制度を説明したのみで、議論はかみ合わなかった。
 該当する国会議事録を以下に抜粋する。


2006年6月13日
参議院外交防衛委員会

質問者 犬塚直史(民主)
答弁者 外務大臣 麻生太郎
経済産業省貿易経済協力局貿易管理部長 押田努
内閣法制局第一部長 梶田信一郎

○犬塚直史君
 ODAによる武器禁輸三原則について質問をいたします。
 まず、これは新聞記事で最近出ておりましたが、政府が巡視艇供与を決定すると。八日の安全保障会議でODAを使ったテロ対策、海賊対策としてインドネシアに巡視船艇三隻供与することを決定したと。ODAによる外国への武器供与は初のケースであるということなんですけれども、これは政府として本当にこの正式の意思決定をするという検討中なんでしょうか。

○国務大臣(麻生太郎君)
 今朝の閣議において、インドネシアに対する巡視艇三隻の供与に係る無償資金協力に関する交換文書というものを締結することを決定しております。
 現在、御存じのように各地においていわゆるテロとか海賊行為が多発しております。日本でも若松の「韋駄天」という世界一のタグボートが誘拐されたりしたのは御記憶のところだと存じます。そういった国際社会の中にあって、私どもとしては、平和と安定というものにとりましてはますます重要でありますので、こういったものの取締りに関しましては、私どもとしては、この防止を支援するという意味において取組の一環としてODAによる支援を決定したものであります。
 今回、供与されます巡視艇というものにつきましては、乗務員を保護するために防弾装置を施してあると、回りに鉄の板が張ってあるということです。その結果、武器輸出三原則等の武器に当たり得ると判断されることになったことから、その輸出に際しては、一定の要件の下に武器輸出三原則によらないこととして、今朝閣議了解後、官房長官の談話で公表しております。
 政府としては、今後とも引き続き、ODAによりますテロ、海賊行為等の取締り、防止のための支援というものを行っていきたいと考えておるという次第です。

○犬塚直史君
 今日、官房長官の談話が発表されたということですけれども、これ武器禁輸三原則の例外をつくったということになりますね。

○政府参考人(押田努君)
 今回の決定は、武器輸出三原則の例外をつくったということでございます。

○犬塚直史君
 ・・・この武器禁輸三原則の例外をつくったケースというのは、今までもちろん幾つかございます。そのすべてが、例えば例を申し上げますと、安保理決議に基づいたとき、これはテロ特措法を作って、そして政令によって例外をつくった。あるいは化学兵器禁止条約を批准したとき、これに基づく政令、これによって例外をつくったと。あるいは対人地雷の全面禁止条約を署名したと、これに基づいて政令によって例外をつくったということなんですけれども、今回のこの官房長官談話なんですが、これは一体何に基づいてこういう例外をつくるということになったんでしょうか。

○政府参考人(押田努君)
 武器輸出三原則自体は、これは日本政府の方針として決められているものでございますので、日本政府の内部での検討の結果そのような扱いになったということでございます。・・・武器輸出三原則自体は、これは日本政府独自の政策ということで決められておりますので、今回その例外化を図るということにつきましても日本政府の判断ということでございます。特に国際的なレジームで何か扱いが決まったとかいうことではございません。

○犬塚直史君
 いや、日本政府の判断で例外をつくったというのは分かっているんですね。私の質問は、今までの日本政府の判断で例外をつくるときには、その大本になる、あるいは条約、あるいは安保理の決議といったものが今まではあったんですよ。今回は、一体その大本になる、政府の判断をする大本になるものは何だったんですかというのが質問なんです。

○政府参考人(押田努君)
 これまで先生御指摘のようないろいろなケースを踏まえて武器輸出三原則の例外というものが定められておりますけれども、これ、この条約に直接、条約等あるいは国際的取決めに基づいて直接その要請によって三原則の例外をつくるということではございませんで、そこで取決め等によって必要となってきたその貨物、これが武器輸出三原則との関係で整理する必要が生じたと、そういった際に、これを日本政府の中での検討の結果、武器輸出三原則の例外とすることが適当であろうと、こういうことで今まで整理をしてきた、処理をしてきたという流れでございます。

○犬塚直史君
 私が申し上げているのは、これは国会軽視じゃないのかということを言っているんですよ。要するに、政府の一存で右から左にこういうものを決めてしまっていいのか、内容は別にしてですね、そういうことを決めていいのかということを言っているんです。
 例えば、安保理決議があったときには、テロ特措法という法律をきちんと作って、それを国会で審議をして、その上でこの例外規定を作ったわけですね。化学兵器禁止条約の批准のときも、この条約を徹底的に審議をして、その上で政令による例外をつくった。あるいは、対人地雷も同様。しかし、今回のこの例外に関しては国会での審議は行われてないじゃないですか。国会軽視、場合によっては憲法四十三条の違反となるんではないでしょうか。

○政府参考人(押田努君)
 武器輸出三原則につきましては、これ具体的には外為法の第四十八条第一項、この運用指針として定められております、指針としてこれを位置付けておりますけれども、その際、この外為法では、具体的な貨物の種類あるいは仕向地等、これについては政令で定めるということになっておりまして、これに基づいて具体的にどうやって運用していくかということにつきましては、法律により授権された範囲内ということで是非御理解を賜ればと思っております。

○犬塚直史君
 法制局の意見を聞かせてください。

○政府参考人(梶田信一郎君)
 法律的な側面から武器輸出三原則の考え方を申し上げたいと思いますけれども、基本的には、外国為替及び外国貿易管理法四十八条等に規定がございまして、そこで、一定の貨物を輸出する場合には経産大臣の許可を受けなければ駄目だと、こういうふうになっております。それを、その規定を受けまして、政令で具体的なその貨物あるいはその地域等を規定しておりまして、その中で、政令の中で定める武器につきましては輸出の承認を得なければ駄目だと、こういうふうになっております。
 武器輸出三原則と申しますのは、経産大臣が輸出の許可をする場合の運用の基準という形で定められておるというふうに承知しておりまして、その基準を、あくまでそれは政府として、政府としてというか、輸出をする場合の運用の基準をどうするかという問題であろうというふうに考えております。

○犬塚直史君
 質問の趣旨は、その運用の指針として武器禁輸三原則があるというのは理解しておるんですよ。外為法に基づいて、この外為法で定めるところによる内容を更に細かくするために政令でこの辺を変えていくということも、これもよく理解しているところなんです。
 ところが、この政令を出すに当たっては、その大本に、政治的に今まで行われてきたのは、外為法だけではなくて、国際間の条約とか、あるいは今回で言えば武器禁輸レジームみたいなものがあって、それをやっぱり一つの目的として行っていかなきゃいけないわけですよね。目的という意味は、外為法というのは経済法ですから、目的はやっぱり我が国の経済の発展を促すための法律ですからね、これをもって武器禁輸のコントロールしようということにはならないわけですよね。にもかかわらず、その大本のところの、要するに武器禁輸レジームというものが、これきっちりとした条約でも何でもないと、これを国会で議論することはできないと。そのような状況の中で法律をすっ飛ばして政令を作ってしまっていいんですかということを言っているんです。

○政府参考人(梶田信一郎君)
 ただいま申し上げましたように、武器輸出に係る法律の仕組みといたしましては、あくまで外国為替及び外国貿易管理法がございます。
 これに基づきまして輸出貿易管理令というものが定められておりまして、その輸出貿易管理令の中で、武器につきましては、例えば全地域に、世界のどの地域に輸出する場合にも輸出の承認が必要であると、こういうふうに書かれておるわけでございまして、そこでもう法律的に申し上げますれば、およそ法律の授権を受けた政令の中で武器輸出の許可を受けなければ駄目だという規定があるわけでございます。その規定を運用する場合の基準といたしまして、いわゆる武器輸出三原則というものが定められているということでございまして、法律的にはそこは何ら問題はないんだろうと思っておりますが。

(以上)

テーマ

関連テーマ 一覧

月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ
気持玉数 : 2
なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた

トラックバック(1件)

タイトル (本文) ブログ名/日時
ODA武器供与一日遅れで調印
いくつかのMLに流した文章を転載 ...続きを見る
今日、考えたこと
2006/08/09 19:56

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
本 文
武器輸出三原則の例外はどのように認められるのか 川崎哲のブログ/BIGLOBEウェブリブログ
[ ]